お葬式の知恵袋 番外編 5

相続

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28 相続

相続財産とは

亡くなった人の財産を分けるだけではなく、いっさいの権利・義務も継承するのが相続といわれるものです。
民法では、相続人を保護するための規定がいろいろ設けられていますが、次のようなものが遺産として相続されます。

@土地、家屋、借家権など不動産に関するもの
A動産と呼ばれる家具、調度品、自動車、貴金属など
B株式、国債などの有価証券や生命保険金
C他人に貸し付けたお金や約束手形D現金や借金。

法定相続人

相続人になる資格を持つ法定相続人は、民法で決められています。
配偶者については、どんな場合でも相続を受けられるようになっています。
第1順位は子供など直系卑属(子供が死亡している場合は孫)、第2順位は父母など直系尊属(2人とも死亡している場合は祖父母)、第3順位は兄弟姉妹となります。
また、胎児の場合はすでに生れたものとされ、生存している子供と同等の相続権が認められています。養子に出ても実親の遺産は相続できます。

法定相続割合

民法で、相続人が受け取る財産の割合を定めています。
遺言などで指定がない場合、次の表のようになります。

相続放棄の権利

相続権を放棄できる場合は、自分が相続人となったことを知った日から3ヶ月以内と決められています。
たとえば、莫大な借金や他人の借金の保証義務があった場合、その期間中に相続遺産と債務とを比較して、放棄するか継承するか有利な方を見きわめる必要があります。
相続することが不利と分かったら、家庭裁判所へ届け出て、審理を待ちます。
受理されれば、相続人は遺産についてのすべての権利と義務を放棄できますから、借金などの返済義務は消滅します。

指定相続分と法定相続分

被相続人は、どんな遺言を残しても自由ですが、遺言に決められた相続分を「法定相続分」といい、「法定相続人」に優先します。
たとえば、具体的に相続の割合を示さず第三者を指定し、その人に分割を任せることも遺言として尊重されます。
しかし、法定相続人の最低の権利を保護するため、一定の相続人に残す"遺留分"という制度も設けられています。
また、相続人が協議して遺言を認めた場合は、特定された人だけが相続するケースもあります。

協議分割と審判分割

遺産の種類や相続人の立場、価値観の違いもさまざまです。
できる限り公平に相続するためには、被相続人の遺志はもちろん相続人の協議が重視されねばなりません。
全員で話し合い、十分に納得のいくよう分割しましょう。
遺産の分割は三十五日か四十九日など法要で遺族が集まったときを利用するのが一般的です。
もし、どうしても話し合いで妥協線が見い出せない場合は、家庭裁判所に申し出て、調停や審判で分割を決めてもらうことができます。


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29 相続税

相続税がかかる財産

ある人が死亡したとき、その遺産を取得した人にかかる税金が相続税です。対象となる財産は次の通りです。

@現金、預金をはじめ、土地、家屋などの不動産、貴金属や古美術品などの動産、株式などの有価証券、特許権などの無形固定資産、売掛金や受取手形などの債権

A被相続人が生きていれば支給されるはずだったもので、死後3年以内に支給された死亡退職金や功労金、被相続人の死亡により支給された生命保険金、その契約に関する権利や年金などのみなし取得財産

B被相続人の死亡からさかのぼって3年間に、被相続人から贈与された財産(贈与を受けた時点に贈与税を支払っている場合は控除されます)

いずれにしても、相続税については専門家の意見、アドバイスをうけましょう。

課税対象にならない財産

相続税は納税者としての相続人の立場により、基礎控除や配偶者控除などで軽減されるようになっていますが、初めから課税対象にならない財産もあります。

@墓地、墓石、仏壇、祭具、神棚などの祭祀財産
A宗教、慈善、学術などの公益事業に関わる人が取得した財産(取得して2年間、その財産が公益事業に使用されなかった場合は、その時点で課税されます)
B心身障害者共済制度により給付金を受ける権利
C国や地方公共団体、公益法人などに相続税の申告期限までに寄付した財産
D生命保険金や死亡退職金のうち一定の金額(相続人1人当り換算で生命保険金、死亡退職金それぞれ500万円までなら非課税)
E香典や弔慰金(弔慰金は夫の年収から賞与を除いた額の半分以下なら非課税)
F業務上災害の場合の賞与を除く給与の3年分、または業務外災害の賞与を除いた給与の半年分。

相続税の計算

相続税は、相続する財産の評価はもちろん、課税対象となる遺産総額の決定や、控除額、税率など、いろいろ難しい点があります。
具体的には、専門家に相談し、計算してもらうようにしましょう。
なお、税額は法定相続人の法定相続分に応じて10%から70%までの超累進課税率で計算されます。
また、基礎控除額は4,000万円十相続人1人当り800万円となっています。遺産額が、この基礎控除額より少ない場合は税金はかかりません。

相続税の優遇措置

配偶者は被相続人の財産形成にさまざまに貢献しているものです。
そのため、夫名義の財産であっても、実質的には少なからず妻にも所有権があると考えられます。
したがって、遺産額が8,000万円まで、または法定相続分相当額の範囲であれば相続税はかかりません。
また、未成年者の場合は満20歳になるまでの年数に6万円を掛けた額が税額から差し引かれます。
障害者の場合は満70歳になるまでの年数に6万円(一般障害者)、または12万円(特別障害者)を掛けた額が控除されます。
このほかに、相次相続控除、贈与税控除、外国税額控除などがあります。


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